「ふみ子の海」へ

2/16 「ふみ子の海」上映会へ

上映会が県内各地で始まったのが去年秋。
前売りを早々に買ったもののなかなか行く機会がなく、映画館ではなく
市民ホール等での上映とはいえ、会場入りきらないほどという観客動員および
評判を聞くたび、このままもう(近場・できれば市内での)上映はないのかと
気になっていたのだが、うれしいことに2008年も上映が、2月には上越でも!と
いうことを知りこの日逃すまい用事入るな~と思いつつその日を待っていた。

そして当日、バクダン低気圧超元気、雪降る降るこりゃもう大変。
なんでこういう時に限ってこんな天気なんだ~と恨めしく思いつつもとにかく出かける。

まずは中華ファミレスで昼食。「ギョウザは国産です」のPR文。時期が時期だしねぇ…。
それから家電量販店で腹ごなし兼ぷらぷら。
前回あぶれた人もいたと聞いていたので13時にもなったし会場のリージョンプラザへ。
入ってみたら、おお!混んでる!(スケート客にプール客にミニバス大会観客もいたもんだ)
上映会場は2階ね、と階段を上っていったら…おお、既に長い列が!
たまげつつも列に加わり待つ。
階段にかかってしまうのでスタッフの人が列整理。で、ここで不心得モノが。
列のカーブが階段にかかっていたこともあって整理のドサクサに
(階段上って)来たばかりの人が何食わぬ顔で列に加わりやがった。
ったく、どこにでもこういう輩はいるもんだ。後ろはブーイングだけど気がつかないふりだもんな。
やっと開場したらしく列が動き出す。自分たちの後ろも既に長蛇だ。
入場して座席を探す。真ん中はほとんど埋まっていたので前か後ろか状態。
前の真ん中が空いていたのでそこに場所確保する。その後もどんどん人が入ってきて満席状態に。

場内が暗くなり上映開始…の前に、原作者の市川信夫さんの挨拶。
定員オーバーで入場制限かけたとのことだ。まだ2回上映あるものの
入れてよかった~~~
そしてさあ始まりました「ふみ子の海」。

頚城の薬師様に祈祷を捧げる母子の姿、ここからストーリーは始まる。
しかし祈りも虚しく幼い子供の瞳に光は灯さない。
絶望の母はふみ子とともに海岸へ。暗く重い灰色の雲と日本海が広がる。
しかしふみ子の心には輝く海が見えていた。
母はふみ子を抱き海へ・・・。

ここでオープニングが入る。(ここで終わっちゃ今後の話続かないもんね)
舞台は4年後に。見えなくても季節を感じるふみ子。
お寺さまの紹介で盲学校行きの話か出るが、日々の生活も困窮している母子に
そんな余裕はない。本家の大旦那に都合を頼むが断られる。
そして・・・

全部書いてしまうとネタバレになってしまうのでこれ以上は続けませんが
高田に出るまでのふみ子の心理を敢えて端折ったのか、とにかく少ないんですね。
「なんで見えないの!」とか「私ばっかり!」とか「学校へ行きたい!」とか
「こんな自分でごめんなさい」というような、ありがちの“不幸さ強調”がない。
見えない教科書を読もうとページを指でこすり持ち主の子に咎め取り上げられ
置いていかれても、悔しがったり悲しがったりというような自己表現がない。
そんなパターン化された演出効果に慣らされていた自分、その辺から意表突かれました。

視覚障害を持つ親しい友人(とは言っても親世代ですが)がいるので、
その辺もかぶらせながら見ていたのですが、見えない世界で、
バリアフリーなんてものはない、偏見と差別の世界で生きていくには
どれくらいの努力と苦労と辛酸があったのかと。

帰らないふみ子を夜通し心配するタカ。ふみ子は戻ってきたものの
「だからぁ、サダがいないんだって!」のシーン、この辺のくだりも泣けてしまった…

母親の臨終に間に合わなかったふみ子。
「冷たく硬くなって、揉んであげられない」と嘆くけれど、やはりここの演出も控えめ。
母の死に嘆き泣き喚くでもない、それを抑えた悲しみと取るか親への情が薄いと取るか。
親友サダの死の時と比べるとあれ?と思ってしまった…。
ラストの海のシーン、悲しみではなく海にはしゃぐ?姿に「え?」と。
親を失った悲しみをこらえ気丈に振舞うというようにも見えなかったのは自分だけ?

ふみ子の心情を抑えることによって、パターン化された思考は意表を突かれ
こうだからこうだろう、といった先入観を壊してくれた(良くある流れもあったけど)
単なるお涙ちょうだいモノでなく、もっと芯の通った“強さ”を感じさせられる作品でした。

運命の皮肉というか「見えない」現実を突きつけられたのは、サナトリウムに向かうふみ子たちを乗せた車とごぜさんたちがすれ違うシーン。
その中にかつて言葉を交わした幼いごぜのユキちゃんがいたこと。
ユキちゃんは何かを感じたようにはっと振り返るけれどお互いわからないままだ。
すれ違いはいつの世もどこでもあるけれど、見えないということはそういうことなんだ。

舞台は上越・高田。ふみ子のモデルは粟津キヨさんという実在の方だが
この小説は実話ではなく聞き書きした粟津さんの体験と市川氏の体験から膨らませたストーリー。
なので街並みも、(高田師団があったことから)軍人も、当時をイメージしているけれど
(笹飴はリアルにあるが)実際にあった&いたものではない。
ノンフィクションのようなフィクションというか。
同じ上越市でロケをした「手紙」も見たけれど、こっちの方が作りしっかりしてたな。
「手紙」は設定が既に「え~。そりゃありえないだろ」だったので。

市民も多くエキストラとして参加していたし、ロケも上越で行われていた。
「あれ私だがね」や「あれどこそこのあのしょだねゃ」なんて映画を見ながら思って
(言って?)た人も会場内でいたかもしれない。

上映終わってロビーに出てみれば、次回分の観客がまた長ーーーーい列。
やっぱりすごいなーとふみ子人気を再確認させられた。

うん、いい映画だったよ。
こういういい映画がもっと広まっていくといいな。
高橋恵子さんこの作品で毎日映画コンクールで「女優助演賞」受賞したそうだし。
そして、ストーリーとはまったく関係ないけれど、凪子、やっぱりべっぴんさんだのぅ。

帰宅してから上記サイトでロケ地確認。
いつか「“ふみ子の海”ロケ地ツアー(仮)」なんてしちゃったりして。
ちなみに高田の按摩屋のシーンは前エントリの中にある「今井染物店」でロケが行われています。
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  • 2008/02/22 (Fri) 17:35
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