山鳥毛フォーラムへ

2/26 山鳥毛フォーラムへ

昨年の夏、突如国宝「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」(以下山鳥毛)購入の話が上越市に持ち上がったわけだが、市が開催する説明会にも参加してきたわけだが、その購入金額3億2千万。
やはり金額だけ見るとえーって思ってしまうわけで。
鎌倉時代に作られて上杉家刀コレクションの1つで(戦いに使われていたのではなく鑑賞用として)…結果国の宝で…・・・というものなのでその貴重さと量れない価値というのは理解してはいるものの、だからといってポンと市の予算から出しちゃうことはいかがなものなのか。
予算というのは税金であって、市民が自分たちの暮らしを、暮らしやすくするために行政に託しているお金ではないのか、それを「ほしいね。(預かってる)お金あるし買っちゃおうか」で買うのはどうなんだろう。実際お金出してる側としては「それを買うために税金を払ってるわけじゃない」と思う人もいるよねと。

だってさー、いくらほしいなと思っても、自分の財布見て、「あー(買えない)…」なことってあるじゃないですか(自分だけ?)
これは○○に使う分だから、とかこれであと何日過ごさにゃならんからとかって見送らざるを得ないことってあるじゃないですか。
いくらそれがほしくても、あればいいだろうなって思っても。

そりゃあね、米百俵の精神もわかるけれど…ただ、それを所有することで本当に市民の「実」になるのかってこと。
結局は持ってることで満足して終わるのではないかということ。

それに、やたらと「義の心」とお題目唱えてるけど、自分たちの都合いいように使っていない?
「世のため人のため」とか人情といういかにも真っ当な「こころ」的大義名分で大手を振って歩けるというか、「愛国心」みたいな反論しにくい言葉だから、それに意見言えばやれ不義だの人非人だの義の心に反するだの言われたり見られたりしがちっての。

で、まあ社会において力や権力持ってる側がこういうこと言うことが多いよね。
力ない側は従わざるを得ないというか、従ってれば楽だというか。
あと、そういう力のある人たちのやること決めることは、俺たちには関係ないしどうこう言っても無駄だと無関心決め込むか。

っと、長くなってしまった。
今回の刀購入に対しても、よく知らないけど買うことになったんでしょ?な人やなにそれ?な人もいるんだろうけれど、それとは逆に「自分たちが払っている税金、あんたがた(行政)が気軽に勝手に好きに使っていいもんではないんだよ?わかってる?」と一石を投じた人がいる。

そしてその人のすごいところは、ただ闇雲に「とにかく(購入)反対」と声高に叫ぶのではなく(←一部の人には慎重派の人をそう見ているのかもしれないが)、諸手をあげて賛成という人、ちょっと待ってよという人、両方のそれぞれの言い分を聞かせてもらって、その両方を聞いた人にそれぞれ考えてもらおうじゃないか。ただ買う買わないと敵対するのではなく、互いに理解したその上で考えてもらおう、という会を企画したことなんである。

それが、「山鳥毛フォーラム」なのだ。

自分もこの購入話については、それに付随してくる精神論も、謙信公完全人格的位置づけも、やはりどこか割り切れないところがあったりするわけだし、でもだからといって刀そのものを否定しているわけでもない、自分の中での納得と落としどころ?を探しにこのフォーラムに参加した。

この会は購入賛成派と反対派(と呼ばせてもらう)のパネリストがそれぞれ持論や互いに向けられた質問に答えていくというもの。
進行役は「アンカー」としてどちらかに偏らず中立で話を整理し進めるというポジション。
そしてよくある「聴衆者が自分の意見を述べる」ことはNGなのだ。議員や行政にかかわっている‘エライ’人たちも発言はなし。
市長も(数値的なフォロー等はあっても)口をはさまず、互いの話を聞くという聴衆ポジションで参加するという。
そして、これは行政側から仕掛けられたお仕着せのものではなく、市民が市民のために企画したという、珍しく、貴重な会。
「税金を使う」ということ、さまざまな立場の人の考えを、さまざまな立場の人が聞き、もう一度その意味を考えようという会。

フォーラム
賛成(反対)する人だけが集まるような会ではなく、互いの話を聞き「自身が考える」というフォーラムなのだ。

定員があるというので、ここであぶれるわけにもいかないなと早めに会場入り。
なんか展示があったとき見えないといやだなということで前の方に座る。

会場内

入場時に渡された資料によるとパネリストは
 (賛成) 石田さん、永野さん、佐藤さん
 (反対) 河野さん、横山さん、宮澤さん の6名
アンカー 中村さん
そして上越市長 村山さん

配布用紙
入場時に渡されたアンケート・質問用紙

司会さん
司会の方

開会。
フォーラム実行委員長の今井さんの挨拶。
実行委員長
今井さんは7年半前に上越に来たいわゆる「旅の人」。
今回のフォーラムは
・税金を使うことの意味を考えてほしい
・民主主義とはいうが市民が政治に関わることができるのは投票だけ?
・上越は出る杭は打たれやすい地域。年長者が力持っているので若い人・旅の人が言いたいことが言えない状態。
このあたりをなんとかしたいというか「そうじゃないだろう?」と開催したんだそうだ。

市長
市長の挨拶が続きパネリスト紹介、アンカー紹介ときてパネルディスカッション。
石田さん→「義の心の会」会長・幼稚園園長。上越プライドという提言書を持参。刀を前提にこの提言書を活かしてもらいたい。
永野さん→観光土産にもなる食品加工会社社長。刀を観光目玉に。
佐藤さん→長年観光案内ボランティアを務める。老いたからこそこの刀を上越の地で遺していきたい。

パネリストの皆さん
河野さん→会社員。刀はあればいいなと思うが税金使うのはどうも…。住みよい街にするには。春日山や林泉寺の充実が優先では?
横山さん→植物療法士。刀は文化的・財産的には認めているが税金購入にみな納得しているのだろうか。
宮澤さん→建築業。朝市に出ているが朝市そのものの存続危機を感じるが、だからといってすぐ税金出してなんとかしてくれとはいえない。刀に税金ポンと出すのはモラルに反してないか?

アンカー
アンカーはどちらにも偏らず、中立の立場で話をまとめていく。

どちらかといえば賛成論の方は市の観光を(長年)見てきた人、反対・慎重論の人たちはそうではなくいわゆる「一般市民」という方たち。だからこそ「ちょっと待ってよ、それでいいの?」と感じるのだろう。
そのせいかどうしても賛成論の方たちの方が弁が立つというか、人の前に立つことに慣れてる分有利という感は否めないような。

パネリストたちのパネルディスカッション。
・市が予算組んだら終わりではない。謙信公のファンの力馬鹿にするな。まだまだ募金協力する人たちはいる。
・寄付について関心あるところが情報発信をどんどんしてほしい
・毎年小林古径の絵画収集に4~5億かかっている。古径の絵はよくて刀がなぜダメなのか。
 他の芸術品に関しても県が県税で購入するものはよくて市が買うのはダメなのか。
・(古径の絵画収集に関しても)普段聞いてないため知らないことが多すぎる
 所持しているものを売ってお金を作って買えば?
・今後の人口減少が一番問題。観光の基幹産業化で地域格差の歯止めかけたい。観光の象徴的存在となるであろう国宝所有はそのチャンス
・刀の歴史や価値はわかったけれど、だからといってそれが観光資源になりうるのか。
・寄付することで刀は自分のものでもあるという気持ちが生まれるのではないか。
・謙信のものがない上越市。天地人のときの盛り上がりはすごかった。精神論だけではなく「実際にある」のも大事。
・太刀について若い人は知らない。もっとPRしてほしい
フォーラム

【一部がただ募金・寄付でがんばろうと声あげていてもそれがなかなか広がらないし聞こえてこない→もっと届くような情報出してほしい……どちらにとってもネックは「無関心」なこと。】
うーん確かに。

ここで一部終了。休憩時間。会場の熱気で暑くなったのもありちょっとクールダウンしに席を離れる。
存じてる方にご挨拶なども。

その時改めて来ている人たちを見たが、ざっと見た感じやっぱり年配男性が多めだ。
でも若い人や女性も来ている。そう、これはこれからの人たちにも大事なことだもんね。
俺たちには関係ない、じゃないもんね。

第二部
休憩時間中に、入場したときにもらった資料の中にあったパネリストたちへの質問を集めていたが、第二部はパネリストがそれに答えながらのディスカッション。質問を振るのはアンカー。
・(賛成側から反対側へ)どうしたら賛成してくれますか?
 →急に購入話が入ってくるという入り方が悪かった。上の方で決まってそのままという経緯が納得できない。なし崩しであり水面下で話が進んでいる…やり方がやはりうまくなかった
・町内で強制的に寄付を求められたという話があるがそれでいいのか←どこの町内がという犯人探しになりかけたがアンカーがうまくかわす
・義の心とはなんですか
 →「義」とは我に美しいと書く(美しいではなく「羊」なんだけどw)。我を美しく探求する心が義の心なのではないか。
・観光資源の優先順位はどうですか?
 →高田城-春日山/優先順位はそれぞれなので順位をつけることなどできない/桜-高田城-春日山
・税金と寄付、妥協点というか落としどころはどの辺りか
→全部募金・寄付で/募金・寄付で買えるならそれに越したことはない。/2/3くらい?募金・寄付・それで足りない分をやむなく税金からなら。

・観光都市にどうしたらなれるか提言を
→謙信公の義の心は福祉団体や市民活動されてる方たちの心に宿っている。
 観光は総括すべき。
 観光振興にこの「刀」がシンボルとなる。
 シンボルとなる刀があることで我が街を誇りとする気持ちが醸成される。
 そのアイデンティティはすべてにかかわってくる。

その後パネリストの方々のそれぞれの感想というかそれぞれ一言。
・「負けない(謙信公)」パワースポットに上越はなりえるのだから、それぞれの力を出してほしい。
 それが義の心でもある。
・世代の声も聞けてよかった。刀は後世に残す宝となれるだろう。寄付・募金のバランスをしっかりとってほしい
・刀とバカにするな。刀もだが、寄付をしたい人も多い、そういう人たちもすごいんだぞ。

・こういう機会に参加できてよかった、寄付もっとがんばれ。
・話し合いの場は貴重。人材育成もしっかりと。
・購入金額を市民で割ると一人当たり1500円ちょっと。寄付募金は自分には関係ないことだったが、この会に参加して話をやり取りできて、参加料1500円と考えれば出してもいいかもしれないと思った。若い人への(市への気持ちの)育成をこれからもしてほしい。

そしてアンケートの結果発表。
アンケート
聴衆が答えた4択のアンケートを司会の方が開票していく。
結果
・募金・寄付金の額にかかわらず全額税金のみで購入すべき(全額税金)  9票
・募金・寄付金は集めるが税金で購入しても構わない(一部税金)    46票
・募金・寄付金でのみで購入するなら購入しても構わない(寄付金のみ) 23票
・山鳥毛の購入は一切不要だ(一切不要)                10票
結果
…となった。
ただ、多数だった2番目の選択肢は一番意味の幅が広いと思う。税金主体でと考える人、寄付や募金が主体でと考える人がいるだろう。
その幅を考えずにじゃあ税金でいいってことね、と行政や市議さんなどの「決める側」には都合いい解釈してほしくないもんだが。

市長

副実行委員長
最後に市長とフォーラム副実行委員長の挨拶があって閉会。

市長も最後までお互いの意見を(口をはさまず)聴いていた。行政の長の立場からも言いたいこともあっただろうに、「個/孤」で市民の声を聞いていた市長もすごいと思ったぞ。
キャッチボールトークではなく、自分たち行政の問題を、傍観者として聞く機会って市長をはじめ行政の人たちも市議さんも初めてだったのではないだろうか。

このフォーラムをきっかけに、市民、行政お互いに少し歩み寄れるというか、市民も行政の決め事なんて関係ないと無関心を決め込んでないというか、行政も市民無関心なら好きにしますとはできなくなるというか、そういう上でのお互いが「意味のある納得」な関係を持てるようになれば、上越かっけー!上越すげー!となると思うんだけど…どうかな?

まあ、人の立場はそれぞれだし万人にとっての100%満足ってのはないだろうけど、それでもできるだけ、それが妥協だとしても「納得」できるような流れになればね。

とにもかくにも、こういうフォーラムを計画し実行した実行委員会のみなさん、大変お疲れさまでした。
貴重な機会をありがとうございました!


…なんかすごく長くなってしまって申し訳なし(^^;)

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コメント

難しい問題ですね。

こんにちは

私もでたかったのですが、参加できませんでした。

先日商工会議所から、最低1万円の寄付依頼が
来ていました。

市民で割ると、一人1000円位なんですよね。
そういった考えだと、買ってもいいかもと思いますし。
それにはまた反対もあるでしょうね。

レプリカ展示権とかを、購入できないでしょうか。
謙信ゆかりの地なのだから、刀はあるよ。
偽物だけど、本物のお墨付きだよとかは
いかがでしょうか。

それなら、有志の寄付だけで、いけそうですけどね。
本物は、展示と保管が大変そうなので、、、

  • 2017/03/08 (Wed) 10:41
  • 蛇口まん #bnrbbJ5U
  • URL
蛇口まんさんへ

こんにちは。

フォーラム、いい企画でしたよ。

税金という一旦は自分の手から直接離れたお金だから痛くないけど、募金は直接だから嫌だと思う人もいるでしょうし、なかなか難しいかと思います。

けど、商工会、(強制)寄付依頼ですか…それもなんだかなぁ…

今回のこの太刀のレプリカも結構なお値段だと聞いてます。
(それでも太刀に比べればかわいいもんですが)
でも、軍配やら仏像などはレプリカ展示もあるのですから、刀も、この太刀や埼玉にある国宝の謙信の短刀もレプリカで全部そろえて常時展示でもいいんじゃないかともいう気もしますけどね。

さすがに三太刀七太刀の刀は現物資料が残っていないのでレプリカは無理でしょうが、景勝コレクションのオールレプリカ展示とかの方が見栄えよいかもしれません。

ほんものの持つ「迫力」と国宝を持つという「重さ」も実質わかってないですけど(^^;)



  • 2017/03/08 (Wed) 11:53
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